糸ノコとジグザグ

「私はこの人の話は1つしか読んだ事がありませんが、それに非常に衝撃を受け、発表誌の切り抜きをずっと持っています。
「糸ノコとジグザグ」と言うお話です。」http://roundabout.oops.jp/blog/archives/000348.html


――という文章をwebで見つけたので、つい再読してしまったのだ。
そんな風に思わせる事が出来る小説って素晴らしいね。
この短編は粉れもなくそういう力があります。


深夜のラジオ番組に暗号のような手紙が届き、自殺の予告では、という事になる。しかし肝心のどこで自殺をしようとしているのかが解からない。そこでリスナーに情報や暗号解読をDJが呼びかけて……という話です。


刻々と集まるリスナーからの情報や、変化する現場の雰囲気。主人公のDJは、責任問題と己の信念との板狭みに対峙しなければならなくなる。
暗号解読の謎以外にも二重三重のドラマが一体となって、自殺を止めたいという目的へと集まっていく。読んでると自分もラジオを聞いているかのような熱気を感じました。
島田さんってストーリーテラーなんだよなあと改めて思った。
毒を売る女」に収録されています。
私も深夜ラジオを聞いていた事があるので懐しかったです。