夜が明けたら
- 作者: 小松左京
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 1999/11
- メディア: 文庫
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少しずつ感想を書くと、
「夜が明けたら」……理由が書かれていない。そこがじれったくもあり、印象に残る。
「空飛ぶ窓」……ロバート・F・ヤングを彷彿とさせるようなファンタジーSF。窓が飛んでいるというイメージがきれいで、きっとそのイメージを小松さんも最初に思い浮かべたんだろうな、と思った。
「牛の首」……こんな恐ろしい話、読んだことがないです。
「ツウペア」……W双子もの。ありがちになりそうな所を、最後にひねったり、トランプを使ったりで膨みを持たせています。
「糕生の宿」……ドライブ中、山奥に迷いこんでしまい、そこで無人の廃屋を見つけ……という非常に私好みの設定。
文体もそれらしく古めかしい。
主人公は廃家を出て車を走らせた時、背後に気配を感じた。幽霊や妖怪が追ってきたかなと思ったらなんと……主人公を追って来たのは「家」だった!
必死で逃げる車。追う家。都心部に入っても追いかけてくる家。「家」は幽霊では無く実体があったらしく、道路はパニック状態。交通麻痺が起きてみんなあっけにとられる。やがてマスコミも集まり出す。
いやー、話の方向転換にびっくりして笑っちゃいました(笑) 文体も途中からユーモア調に変わってるし。
最初の勿体ぶった文体は引っかけだったのかも。タネを仕込むように。奇想天外なSFでやられました。