101号線の決闘(景色のいいルートで)

そのハイウェイでは、死か賞金かをめぐり正当なルールにのっとり車で決闘をすることができた。主人公はファミリーカーで決闘にのぞむ、というオーバーヒートな作品です。


一つ前の記事で書いた、野村さん訳の口直しに読み返しました。そしたら伊藤典夫さん訳はやっぱりうまい。比べてみて改めて凄さが分かりました。意外だったのは、思ったよりも伊藤さんって優しい翻訳をしてたのだなあと。文章が優しいという意味ではなく、人に配慮と気遣いがしてある訳なのです。
例えば黒人を侮辱する台詞が野村芳夫訳にはあって、多分原文にもあるのだろうけど、その部分が無くなっていたり上手く違う表現に変えられている。女性(妻)に対する台詞も同じく。
だけど小説全体の暴れん坊な雰囲気は、文体によって十分に表現されている。伊藤さんはこういう風に訳す人なのかと発見がありました。
世界の中心で愛を叫んだけものに収録されています。
世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)