復讐の女神

ハートのない復讐者、コーゴを追う三人の能力者と、復讐をしなければならなかった男の物語。再読。
最初に三人の能力者を順々に紹介していく、格好良いけど最初は筋立てがはっきりしない構成。面白かったです。焦点がはっきりしないで進んでいくので、超能力者側に感情移入すればいいのか、逃亡者側に感情移入すればいいのか、これは過去の話なのか現代の話なのか、曖昧なのに"カッコよかった" という感覚だけは鮮やかだ。やはり文体の勝利なのかもしれない。
この作品はゼラズニィによるコードウェイナー・スミスパスティーシュなので、渋さや格好良さに磨きがかかっているのは当然といえば当然なのだけども。
そして最後の三行でどんでんがえしがくる。どんでんがえしが……きてるはずなんだけど、実は「復讐の女神」という存在をきちんと理解してないのでオチもきちんと理解出来ていない気がする。……ああ、ここでもギリシャ神話の壁が(単に自分の常識の壁か)。それでも迫力を感じてブルッときました。この小説は明らかに長編向けの素材なのに短編で書いちゃうんだものなあ。チェスをしている所の会話が好きです。