「銀の塩」(藤原伊織)

藤原さんって難しい漢字を全く使わないのに、それでいてとても美しいと感じる文章を書く。難しいというか、見慣れない漢字を使わない。だから逆に美しく見えるのかもしれない。最近コツコツ読んでいる江坂遊さんの小説と並ぶくらいの、易しい漢字を使った小説でした。
やっぱりこういう文体好きだな。難しい漢字を使わないのは意識しているのだろうか。だとしたら、かえって大変だと思うんだけど。それとも生理みたいなものなのだろうか。


藤原さんの本を読んでると、いつも太宰治を思い出します。あとは生島治郎さんとか。
で、この小説は雰囲気があってなかなか面白かったけど、これってシリーズものなのかな。
島村、島村……はて、ものすごく聞き覚えがあるんだけど。ああー、テロパラの主人公だ。あの本好きで二回か三回は読んでるのに、忘れていた……。アル中の中年が出てくるのは藤原さんの雛型っぽいので、似ている別人かと思って読んでいた。ということは、「ピンクの豚」の意味もテロパラに出てくるのかもしれない。その内また読み返してみよう。