「Y」の悲劇」(有栖川有栖・篠田真由美・二階堂黎人・法月綸太郎 )

再読。有栖川有栖法月綸太郎篠田真由美二階堂黎人(敬称略) さんによるダイイングメッセージをテーマにしたアンソロジーです。
二階堂さんの作中人物も言っていた事だけど、有栖川さんと法月さんは分かるけど、なぜに篠田さんと二階堂さんが?って感じがちょっとしたり(笑)


「あるYの悲劇」
有栖川さんの作品は、ダイイングメッセージがなかなか凝っていて上手く出来てたなあと。ダイイングメッセージはもうだいたい出揃ってしまっていて、新しく考えるのは大変そうだ。このダイイングメッセージも新しいというわけではないけれど、組み合わせが上手いので新しく見える。あと最初のアリスの一人称が、いつものアリスよりも落ち着いていたというか感傷にひたっていて別人ぽかったのが、少し気になった。


「Y」がふえる」
二階堂さん作品は、うーん、こういうのも一作ぐらいあるとバラエティに富んで面白いとは思う。メタミステリ。だけど、私どうも二階堂さんの小説のギャグというか、コミカルの部分が合わないんだよね。何でだろう…。
推理小説以外の小説を軽視しているように感じで……いや、これは私が勝手に感じることで、二階堂さん本人が実際に軽視しているわけではないのだろうけど。うーん。まあ単純に相性が悪いのかも。


「ダイイングメッセージ《Y》」
篠田さん作品は、篠田さんっぽかった。トリックは少し軽いけど発想が違うなと。なかなかこういうこと思いつかないし、思いついてもメイントリックには持ってこないような。
×××のYのことを、ダイイングメッセージに残すか? と少し設定に無理がある気もするけど、雰囲気で読ませられた。


「イコールYの悲劇」
とりを飾るのは法月さん。まあ、法月さんはさすが法月さんというか、二階堂さんも言ってたけど、これは短編ではなく長編ネタやろ。その創作姿勢には頭が下がります。
並の小説家だったら、これより一つパーツを少ないままで書いてしまいそうだ。
これだけ多くのパーツを短編として仕上げ、なおかつややこしくないというのは、まさに職人芸以上だよ。
読んでる最中ずっと感心してました。