殺人現場はその手の中に

柄刀さんの小説は、トリックがまず分からないから純粋に読書モードで読んでいる。すると気が楽だし面白い。良い感じです。
今回は、本自体に仕掛けがある。何ページかに汚れのようなインクがついてるんだけど、この汚れを使った謎が最後の短編「ページの中の殺人現場」に出てくる。こういう遊び心って好きだなあ。キャラクターも相変わらずみんな好きだし。
今回の小説では、前の事件で龍之助と関わった人達が一堂に集まってくる話がある。ああ、そういう事件もあったなあと懐しくなった。


ところで龍之助は身内の前では一人称はボクだけど、公の場になるとちゃんと一人称を「私」に変えている。反対に主人公の光章は、地の文での一人称は「私」だけど、会社の同僚などと実際に話す時は「俺」や「ボク」になっている。二人とも使いわけが変わってるなあ。いや、別に普通なんだけど、キャラクターとは微妙にずれている感じがする。そういうのも楽しいけどね。