ターン(北村薫)

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)

事故をきっかけにして、同じ日をたった一人で、動かない世界の中くりかえす女の人の物語。ジャンルをSFにするかミステリにするか迷ってしまった。
これは主人公が合わなかった……。主人公は版画という創作活動をしているのに、自分の創作物が全く残らないという世界に居て、あれだけ普通でいられるのは違和感を感じました。
主人公が落ち着いていられるのは、作者視点の気がした。この物語は終結することを知っているから、あんなに落ち着いていられるみたいな感じ。自分の人生がどうなるか"知ってる"というか。
あと変なところに気をくばっているのに、ほんのちょっと柿崎と話しただけで、「この人と話したくない」って思うところが、ダメだなあ。どうも悪人と善人(自分にとっての)をわけ、悪人をばっさりと切り捨て、自分は善人側だと疑ってない感じが苦手です。柿崎の書かれ方も気になったし。
SF的には、何で元の世界に戻れたのか法則性が分からない……。そういうのを気にする物語では無いのかもしれないけど。柔らかい文章は上手いと思いました。まあ、相性が私には合わなかったということで。