真説ルパン対ホームズ(芦辺拓)

今古東西の名探偵が登場する、パスティーシュ集。玄人好みな作品集の印象を受けた。
Wikiシャーロック・ホームズの所を読んでいたら、この本が紹介されていたので気になって買ってきました。


・真説ルパン対ホームズ
時は1900年、パリにて開催された万国博覧会と舞台は華やか。登場人物はご存知アルセーヌ・ルパンにシャーロック・ホームズ。ガニマール警部やワトスンも出てきます。
まずは、物語の歴史的背景をよく調べているというのがよく伝わってくる、堅実で迷いの無い描写力がいい。曖昧に誤魔化している部分が全く見えないねえ。凄い。てっきりルパンとホームズが対決するのかと思ったら、あにはからんや、こんな状況になるとは思わなかった。
ルパンといえば、小学生の夏休みに祖父の家に遊びにいった時に、図書館に通いつめて全シリーズを読んだのです。その読書体験がその後の私の色々な好みを形作ったと言ってもいい! もう本当に面白かったあ。


・大君殺人事件
この作品に出てくる探偵は、ファイロ・ヴァンス、思考機械、ネロ・ウルフと私の好きな探偵勢揃いでした。いわゆる「うんちく自慢」系だね(笑) いやいや、博覧強記系と言い換えましょう。性格もみんな好きです。
容疑者は人気作家、レイモンド・F・キンメル。しかし、このキンメルは三人の作家が覆面で関わっていて、この三人の中の誰が殺したのか分からない……。
この設定はとても興味が引かれて、先が気になる展開だった。
私にしてはめずらしくトリックが分かったよ。 やったー、というか逆に頭が回らなかったので解けたとも言える。きちんと考える人だとブラフの方に引っかかりそうだから、あまり深く考えない方が分かりそうなトリックかも。
最後の最後にはまんまとだまされました。心地良い背負い投げだ。