殺しの双曲線

殺しの双曲線 (ジョイ・ノベルス)

殺しの双曲線 (ジョイ・ノベルス)

都内で起こる双子が犯す連続強盗事件。東北の雪深いホテルに招待された6人の男女とその主人が殺される連続殺人事件。並行する2つの事件はどこでどう結びつくのか?

今の時期にぴったりな「雪の山荘」ものだ〜い、とわくわく期待して読んだ。うん、評判通りに面白かった。本書を書いてる時の作者の精神状態は、かなり充実していただろうことが良く分かる小説でした。ぎゅっとつまってる感じ。文章も読みやすくて好みだ。


トリックはというと部分部分は分かったし、犯人も分かったけど、事件をつなぐ、”何故”、の動機が分からなかった。動機がこの小説の一番の要とも言えるので、分からなかったのは悔しかったなぁ。分かってから読み返すと、ちゃんと最初から伏線のシーンがある。そこで気がつくべきだった。
それよりも”太地”なんて名字があやしいとか、一人本名じゃない人が交じってる……という事は名字がミッシングリング? ……などの方向に頭が回ってしまったんだよね。途中で駅に関係あるのではなどとも推則したけど、そこまでだったし。


小説としては双子編もミステリ的に充実していて面白いけど、クローズド大好きな私が期待してたのは、”雪の山荘”だったので、全編、雪の山荘が舞台でいって欲しかった。
クローズド・サークル物って、本書のように「閉ざされた空間」「外部」の二つの話が同時進行で進んでいく本がとても多い。その方がストーリーにメリハリが付くし、ミステリの構成としても膨らみが出るからだろうけど、最初から最後までクローズド・サークルが舞台な小説を読みたいなあと思うところです。