ノヴァ(サミュエル・Rディレイニー)

ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)

ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)

20歳までに5000冊』企画さんのディレイニーの感想を読んだら、ディレイニー熱が再燃したので「ノヴァ」を読んでます。いやぁ、派手だね。華があるなあ。こういうノリ大好きです。
私がどれ程ディレイニーを好きかというと、英語を読めないのに「Selected Letters」というディレイニーの書簡集を持っているくらいです。勢いで買って、本が届いてからたいして英語が読めなかった事を、思い出したのだ……。
さてこの本。
伊藤典夫さんの訳は読みやすいのが、逆にディレイニーに合わないと感じてしまう。
普段は翻訳文体は漢字が多いと読みにくくて嫌なのですが、ディレイニーの作品こそ、漢字が多い文体で訳して欲しいところでした。小説の原書は何とか読み進めたところ、ディレイニーの文章は、ギリシャ語から派生した英単語(長くて普通の人は使わなそうなもの)を多く使ってます。
なので日本語に訳すときは、"漢文から派生した単語(漢語)"を多く使って訳して欲しかった、と夢想しました。


漢和辞典をひくと、それは綺羅、星のごとく美麗な単語がひしめきあっているので、そういう漢語文体だったら、それこそキラキラしてて良いな。個人的には、尾鮭あさみさんの初期の頃の文体がピッタリです。比喩が華麗なだけじゃなく、文章のつなぎ具合からして飛んでるところとか。
でもニュートラルな文体の伊藤さん訳で読んでさえ、「飛んでるなあ、この小説……」と感じるので、やっぱりディレイニーの文体というのはよほど特徴があるんだなと。
比喩や文法的に飛んでるだけじゃなく、原書でも文と文のつながりが変なんだ。飛んでる。だから誰が訳しても、飛んでる。
構成も飛んでます。ロークの過去にいくまでの第一部は、読者に不親切すぎるよ。でもニューウェーブ組に、親切さを求めてもしょうがないしなあ。
読んでるとテンションが上がっていく作品です。


しかしいいね、宇宙もの。"宇宙旅行に持っていきたい本のリスト"にこの一冊を加えたい。
まだ途中なので続けて読みます。
(#続き)