いぬはミステリー(アイザック・アシモフ他編,小梨直訳)

いぬはミステリー (新潮文庫)

いぬはミステリー (新潮文庫)

洒落たタッチのミステリが多いです。犬が出てくるせいかアシモフが選者だからか、険が無い作品が多く、読んでいて暗くならずにすみます。
小梨直さんの訳が上手い。小梨さんの訳は平易かつ整っていて好きなんだよねえ。

ジャズの嫌いな犬(ウィリアム・バンキア)
非常に洒落た作品です。ジャズとチャーミングな犬と。雰囲気もよく気に入りました。人物も生き生きと書かれている。ミステリではないです。

闇の中を(ポール・W.フェアマン)
とても好きです。次々と視点人物が変わりながら話が進むのですが、その中に「犬」の視点も入ってます。人を殺すために訓練されたドーベルマンが、唯一心が触れ合った盲目の少女を助けようとします。ああ非常に好きです、こういう話……。

ブーツィーをあの世へ(ジョイス・ハリントン)
わ、皮肉屋な話。 スレッサーが書きそうな話というのかな。妻を殺そうとする男の話。結末もまた皮肉でいながら軽い。 ウイットに富んだ作品です。

リンカーンのかかりつけの医者の息子の犬(ワーナー・ロウ)
うわあ、この結末はありえないよっ。まさか彼が犯人なんて……作者性格わるー。この作者は人の悪さにかけては一級品だね。久々に驚きました。小説としては上手いです。ユーモアとウイット。