奇術探偵曽我佳城全集 秘の巻
- 作者: 泡坂妻夫,松田道弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/06/13
- メディア: 文庫
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再読。一部三回目。ネタバリありで感想を書きます。
・空中朝顔
ある人を嫌いになっても、その人が好きだった対象を既に好きになっていた場合、対象はそのまま好きであり続ける事はあるのでは……。と思ってしまう私は、泡坂さん程情緒的ではないのかもしれない。
・バースデイロープ
ロープの奇術が行われているのだから、当然ロープ奇術がトリックになっているはず……と思わせておいて真相は「溶接」だったというギャップが鮮やかだ。それまでのいくつかの謎も、真相と共に一気に分かるのもいい。
・ビルチューブ
奇術と現実に起こる犯罪とが相互作用を起こしているのが素晴らしい。この奇術が無ければ犯罪は起きなかったわけだし、犯罪が起きなければ、佳城は最後の引っ掛け奇術を行わなかった。「佳城は自分の髪に手を当てて」という文章が多いなあ、こういう癖あったっけと思ったら、伏線だった。あああ、またしても騙された。
「天井のトランプ」に出てきた法界さんが佳城ファンになっている所も微笑ましい。
・七羽の銀鳩
最後に平和井戸株式会社がさらっと出てくる。こういう所が好きなんだよね。
・剣の舞
プロットが複雑で、意外な方向に転がっていく。想像も出来なかったです。
・虚像実像
この話は、奇術の方に興味がひかれました。スクリーンから怪物や犯人やらが出てくる小説が時々あるけど、もしかしたら裏にはこんなトリックが使われてたりして。
――泡坂さんの小説を読んでいると、どこか落ちつくんです。なので手元に置いてしょっちゅう読み直しています。さあ、次は「戯」の巻だ。