幽霊船が消えるまで

再読です。軽く感想を。

「死が鍵盤を鳴らすまで」
これは上手いねー。名刺のメッセージの謎があほすぎて可笑しかった。光章本人には笑い事ではないのだろうけど。ピアノ移動の謎だけだったら、上手いけど普通だが、「タンホイザー行進曲」のエピソードで犯行が裏付けされるのが劇的で良い。


「石の棺が閉じるまで」
「ミステリ」と「物語」が非常にきれいに融合しています。ミステリの謎がとけた時に、ある人の心の謎もとけて、それによってほんの少しだけ人間関係が変わるかもしれない。ああ、こういうの大好き!ミステリ的な謎も良いし。


「彼が詐欺を終えるまで」
非常に奇妙な話。そして奇妙な存在だ崎山強。いや、ミステリとしては奇妙ではなくかちっと論理的に謎が解明されてます。


「木の葉が証拠を語るまで」
薬持ち出しトリックも感心したけど、やっぱり嘘実験が印象的でした。


全体的に、ミステリとしても物語としても面白く大変満足しました。
前の本では龍之助の事を天然だなあと思ってたけど、主人公(光章)の時々入る緊迫した中での突っ込みも、たいがい天然だと思った。なるほど従兄弟だよ、この二人。
光章は……妙に達感してるというか、老人じみてる感じもするよねえ。のんびりしてるのか、何なのか。
龍之介観察日記に萌え。何かミステリ的なオチがつくのかと思ったら何もなかったね。最後の最後のオチには食傷気味なので、ただの日記で良かった。