四日間の奇跡(浅倉卓弥)

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)

四日間の奇蹟 (宝島社文庫)

感動はしたけど手放しにそう言い切れない。非常にもやもやした読後感です。
文章は確かに上手い……読みやすく整った文章。内容にとても良く合っている。
初めは謎めいていて、徐々に事情が分かってくる構成も良い。
しかし、うーん。おとぎ話だなあ。こういうのも悪くはないのだけど。


基本的に悪人や悪い面が出てこないんだよね・・。悪人が出ないでいい話というのは、それは素晴らしいけど、そういう「いい話」は好みではないのです。
やっぱり本当に美しいものって綺麗なだけじゃ無理だもの。光がある所に影があるように、醜いもの欠けている部分、そういうのを全てひっくるめて表現していて、なおかつ美しかったりきれいだったりする話が好き。
人間のいい部分だけを見て、「いい話だ」と感動するのは簡単だけれど、私だったら自分の悪い所も受け入れて欲しいし、愛する人がいるなら悪い所も受け入れたいので。(甘えさせたり見逃すという意味ではなくね)


しかしこの本が普通に感動を呼んでいるという事は、上記のように考える人は少ないのだろうか。寂しい・・。この小説のせいではなく、このような本が凄い感動を呼んだ一色という世間の反応の方が自分の気落ちの原因かもしれない。
話が少しずれてしまいました。
「小説」としてのリーダビリティは高かったです。筆力はある方だなあと思います。