オプティミストはなぜ成功するか(マーティン・E.P.セリグマン)

オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)

オプティミストはなぜ成功するか (講談社文庫)


表紙が何となく好き。


論理療法の考えに基づいた本です。分かりやすく書かれてある。
やみくもに楽観主義になるのではなく、困ったことに出会った時、それをどうとらえるかコントロールする力をつけるのを目的としているそう。
確かにこの本は読みやすいけど、これだけで楽観主義者になれるかいうと、難しいでしょう……。
もしも興味を持ったら、論理療法関係の専門書を読むといいのではーと。


■何故無力状態になるのか
無力状態におちいりやすい者は、過去にショックや不愉快な出来事があった時に、「自分の行為が何の成果ももたらさなかった」体験がある人が、無力状態になりやすいのだと、犬や人間の実験結果から導び出されています。
これは個人的な経験からも、非常に納得だなあ。


では、このような無力状態に陥ったのを治すには、どうしたらいいのか?
それも犬や人の実験で明らかにされています。
無力を教えこまれた犬たちを連れてきて、無理に引っ張ってシャトルボックスの仕切りを何度も越えさせた。(仕切りを越えるとショックがやむようになっている)
最初は渋っていた犬も、しまいには自力で動くようになり、自分の行動が役に立つことを悟った。いったんそれが分かると、治療の効果は100パーセント持続した。


おお、素晴らしいね!うんうん。
犬と違って、人間の場合、誰かが「無理矢理させる」という事は出来ないもんなあ。だから結局自分で動くしかないわけで。
とりあえず、「自分の反応で状況がガラッと変わる」事を見つけて、少しずつやっていくのが良いのかもしれないね。


問題は、世の中には「自分が何かしてもどうにも出来ない」事があふれているわけで。無力状態になりやすい人(特に幼い頃に自分の思い通りにならない事が多かった者)には難しい世の中だ。
だから、毎日自分の反応によって状況が良くなるような良い習慣を続けたいものだ。しかし、それって何??
人の営みから言って、社会的なものが好ましいけど、なかなか難易度が高い。
まあそんな一気に状況が変わる事もないので、とにかく少しずつ良いと思われる事を続けていくしかないのかなあ。と。
むくわれるというのは大事なことなんだね。
「むくわれないでも努力する」のは、幼い頃に豊かな成功体験をした人しか、持続出来ないのかもしれない。私はそれ程豊かな体験はしてこなかったので、まずは「やれば高い確率でむくわれる」事に的を絞った方がいいのかもしれないなあ……。


そういう体験を積み重ねてからじゃないと、無茶は出来ないのかも。
しかし、何故か自分が苦手なことにひかれてしまう困った傾向もある。
自分の癖を自覚する事は大事だろうね。
論理療法とはその名の通り、まずは自分の考えが論理的がどうかを認知する事が重要なわけだし。


題名は俗すぎて好きじゃないです。元々は「Learned Optimism」というシンプルな題なのに。