殺人鬼

殺人鬼 (新潮文庫)

殺人鬼 (新潮文庫)


ものすごく久しぶりに再読してみた。

まず、この本の文体は、描写がとても的確です。
そこが他のホラー小説との一番の差違ではないだろうか。殺人シーンもまるで良く出来た医学書(解剖書)みたいだ。
勿論、あんな残酷な事があるわけないのだけど。
的確で曖昧さを排除した文体は、それだけで品格すら宿すという事を知りました。
そしてそれゆえの残酷さと。


人間関係もそれ程ページをさかれてないのに、きっちりと要所を押さえて描写しているので、感情移入までしてしまった。


こういう本は、読むのに心理的負担もかかるので、常に読みたいわけではないけれども、久しぶりに読むと感心する所も多かったです。
今までも何回か再読しようとした事があったのだけど、最初に読んだ時の衝撃が残っていて、何となく手を止めていたのでした。ラストのオチが。「※※」だったという。
今回は伏線を拾いながら読みました。すると、人物の服装など細かい所によく気を使って書かれていたのが分かった。