悪魔の発明(井上雅彦 監修)

異形コレクションシリーズは、文章が上手い人が多いような気がします。
反対に、アイディア自体は平凡なのが多いようにも思う。それはお題が決められているからなのか、「ホラー」という性質が持つ傾向でもあるのか。


イモーター」(小中千明)……永久機関ネタです。途中までは面白いんだけど、このオチはバレバレすぎるよう。ひっかけだと思ってたのに・・。


明日、どこかで」(山田正紀)……リツコのキャラがあっけらかんとしていていいですね。


レタッチ」(我孫子武丸)……「レタッチ」という題名はうまい。主人公は、そこまでブスとか醜いとか言わないでも……。性格は何も変わってないんだからさあ。家族なのに、外見が全てなのかい。


よいこの町」(大場惑)……印象に残りました。大場さんの話は読みやすいのが多い気がします。


果実のごとき」(岡本賢一)……うわあ残酷でグロテスクなんだけど、これも印象に残るなあ……。大塚英志チックというか。あ、あとは奥浩哉さんの「GANTZ」の一巻にも雰囲気が似てるかも。
電車が停止したと思ったら、突然知らない駅にいる。そして銃を持った男たちに研究所に連れて行かれる。そこには自分以外の見知らぬ人もいて、皆列車ごと誘拐されたという。そこでは恐るべき実験が行われていた……。
最後のオチは基本だけどこういうの好きです。


決して会うことのないきみへ」(森岡浩之)……パラレルワールドの変奏曲な話です。気軽なバイトだと思っていたら、パラレルワールドの自分と人生を交換されてしまうのですね。こういうパターンの話は割とあるけれども、途中までパラレルワールドものだと分からないので謎めいていて、なかなか面白く読めました。


ハリー博士の自動輪――あるいは第三種永久機関――」(堀晃)……永久機関ものです。情報を消費して回るというのは面白いかも。