年刊SF傑作選1(ジュディス・メリル編 中村保男訳)


今読んでも面白いSFが目白押しです。 SFっていいよねえ、こういう昔(1960年頃)のSF好きです。

あとは野となれ……?」(ホリー・カンティー)……自分の分身を作り出す話。これ、なんか好き〜。自分を作って何をするかというと、人気のない小屋を買って、合奏団員(自分のみの)を作って、演奏を始める所がいい。音楽好きなんだね。しかし、性格がやや違っていた「自分」が一人いて脱走してしまう。それから……という話。


なくならない銅貨」(バーナード・ウルフ
童話みたいな話ね。こういうのも好き。

マクシルの娘と結婚した男」(ウォード・ムーア
強いインパクトを受けた。非常に好きだ。分類するとエイリアン物なんだけど、土着の力強さの方に圧倒された。あとは「コミュニケーション」ものとしても感動する。名作だと思う。

わたしを創ったもの」(R・C・フェラン
でたらめの単語を組み合わせるコンピュータで、偶然に小説を作ろう、という話。オチが良いねえ。
ネバーエンディング・ストーリー的になってます。驚いたのは、この時期(1960年)に、十匹の猿が十台のタイプライターを叩いたら、という仮説が「昔からある理論」と書かれている事! そんなに昔からある理論だったのかー。

J・G」(ロジャー・ブライス
ゴリラが知能を持ったら、という話。これもうまい。知能だけではなく「知性」まで持っている。


この本は、一作品ごとの解説が、「作品のあと」のページに書かれてあります。これが素晴らしい! 読む前に、変な予断や知識を仕入れずにすむので。全てのアンソロジーは、こういう形態にして欲しい。
はまぞうにデータがなかったし、手に入れにくいんだろうなあ、非常に勿体ない……。
私の手元にあるのも、1969年出版のものです。