狼男だよ

読むの三回目かな。
最初に読んだ時は想像以上の面白さにぶっ飛んだ思い出があります。まずは一人称がカッコイイ。
不死身だし。
あの保護欲も板についていていい。
しかし拷問シーンが多いね。ちょっと多すぎのような……人類に憂いちゃうな。まあ狼男相手なので拷問にはなってないんだけどさ。


「狼男だよ」すてきな題名だ。。 ちょっとバーネル・ホールを思い出す。「探偵になりたい」「撃たれると痛い」 こっちは邦訳の方のおかげですが。


長めの第三話よりも、第一話、第二話のスキのなさ、無駄のなさ、スピーディな展開、魅力的な登場人物、初登場シーンに心底しびれます。


もしかしたら全シリーズ通しても、一巻の第一話、二話が一番好きかも。まだ彼の正体がよく分からないからこそ、ラストでなんとも不思議な余韻がある。


犬神のセリフは、外国映画のとぼけた感じに似ていて気障かつ機転がきいていてよい。


犬神さんは人気投票でも一位でしたが、確かにある種の理想を体現しているんだよね……。普段の好みは別だとしても、犬神のような人は別枠で好きにならずにはいらんない感じ。
ユングのいう「元型」みたいなものかなあ。(元型とは人類誰しもが共通して持つ、普遍的な「型」のこと。集合的無意識から成り立つ)

平井さんなら、集合的無意識まで汲み取れてもおかしくない…。
ようはそれだけ多くの人をひきつけるだろう魅力的なキャラだってことです。


この本が書かれたのが、70年代初期なのにも驚きます。