玻璃ノ薔薇
- 作者: 五代ゆう
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
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玻璃ノ薔薇(ガラスノバラ)と読みます。
個人的には、井上雅彦さん編集「異形コレクション」でおなじみの五代ゆうさんです。いつも文章が上手いなあと思いつつ短編を読んでましたが、初めて長編を手に取ってみました。
ゲームの小説化です。ゲームのノベライズは不安がつきまとうものだけど、そこは五代さんなので心配せずに買えました。
そしたら、やはり面白い。
一言で言うと、綾辻行人さんの「暗黒館の殺人」に雰囲気がよく似てます。暗黒館が気に入った人なら、この作品を手に取って損は無いと思う。
舞台は昭和4年。主人が死に、「遺言書」の内容を知るために"キネマ屋敷"に集められた一癖も二癖ある登場人物達。
封を開けられた遺言書には、封を開けてから三日の間、キネマ屋敷がある島から一歩でも出たら、遺産の相続権を失うと書かれてあった。
そして起こる孤島での連続殺人。予期せぬ闖入者。性格が正反対の双子の美少女、気弱な少年、驕慢な美人女優に、ひょうひょうとした噺家。
などなど。
純粋に小説としてみると、「ナオミ」のシーンなどやや浮いてるな、と思う部分もありますが、これはゲームのシステムと関係があるのだろうな、とすぐに推測がつくので、仕方がないですね。
最初が語りかける口調(二人称)なのが話に入っていきづらかったり、やや展開が遅かったりもしますが、そこを越えると一気に物語に引きずり込まれました。
ゲームに沿いながらも、一つの小説作品としてよく纏めて上げているなあというのが伝わってきます。
ミステリとしても、ボスの正体は分かったけど、まさか和弥の正体があの人だったなんて、想像もしてなかったのでやられました!
ラストは、感想が分かれるのでは。
読み終わってゲームもやってみたくなりました。あのキャラはどんな風に動いてるのだろうか、と。
ただ、この小説は五代さんの長所が存分に出てはいないような気もするので、他の長編も読んでみたいです。