正統派なホラーが多めだったかな

七つの怖い扉 (新潮文庫)

七つの怖い扉 (新潮文庫)

「七つの怖い扉」 を読みました。
ホラーを集めたアンソロジーです。


なかなか面白かったです。私が今読みたかったのは、ホラーだったのか〜と気がついた。
さて印象に残った作品を少し。


「布団部屋」 宮部みゆき
これは、なかなか雰囲気が良かったです。宮部さんの文体は、時代物によく合う。内包している世界感も、「人情話」によく合う。この話は、人情話とはちょっとズレる気もしますが、宮部さんらしい世界観はよく出ていました。


「安義橋の鬼、人を喰らふ」夢枕獏
夢枕さんお得意の平安妖怪もの。まずはその文体を見ているだけで、目が楽しめる。夢枕さんらしく、恐いながらもどこかとぼけたユーモアがあって、その交じり合った所に不思議な恐さと味がうまれている。


「母の死んだ家」 高橋克彦
これは、もうホラーの大道!ってストーリー展開がとてもいい。高橋さんは、ホラーがうまいよなあとつくづく思う。最後に世観がクルッと反転する所が大道でいいです。あと私は「車を運転中に道に迷って」というシチュエーションがとても好きなんです。


「夕がすみ」 乃南アサ
超能力オチはともかく、このなんともいえない、じわじわとした予兆。ホラーだなあって思う。


「康平の背中」 小池真理子
これは、オチが理に落ちなかったです。どうしてそうなるのか分からない。「まんじゅう」の意味も結局解明されないし。そこに至るまでは、何の伏線だろうと楽しめたのに、単に人を恐がらせる小道具を並べたようにしか見えなくなってしまったのが残念だ。