せどり男爵数奇譚(梶山季之)

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)

せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)

"せどり"(背取、競取)とは、古書業界の用語で、掘り出し物を探しては、安く買ったその本を他の古書店に高く転売することを業とする人を言う。せどり男爵こと笠井菊哉氏が出会う事件の数々。古書の世界に魅入られた人間たちを描く傑作ミステリー。

このような「古書マニア物」の中では、かなり興味を持って読めた。本の薀蓄の豊富さは元より、どこかいかがわしい雰囲気も漂っていて独特の魅力となっている。最後の方の短編は私の好みからすると、ちょっとエグかったな。
せどり」の語源が詳しくのっているのも、得した気分です。
そのせどり男爵が好んで飲むお酒を「セドリーカクテル」といって、作り方はジンとかウオツカ、焼酎など透明な酒を混合して、氷のうえにそそぐ。他人には客が水を飲んでるとしか見えない、透明で飲むと強いカクテル、というもの。うーん、強烈に酔いそう。セドリーカクテルと古書コレクターに乾杯!