ローズマリーの赤ちゃん

ISBN:4150400067
恐ろしい夢を見た日、ローズマリーは身ごもった。その日から異常な痛みがはじまり、だんだんと日常と乖離しはじめ……
キーワードは、マンション 悪魔 キリスト教 役者 異常と正常の境 妊娠 医者 隣人 などなど。


これがローズマリーの赤ちゃんかあ。私はもっと昔風なおどろおどろとした、いかがわしいホラー小説を想像していた。例えるなら、乱歩やポーとか夢野久作とか。そうしたら全然違ってた。
表面上は普通の小説みたい。普通の生活が書かれていて、何の怖さもない。最初はそのことに途惑った。読んでいくうちに、ああ、このどっちの人間が異常なのか、それとも異常な事など無いのか、はっきりと分からない巧妙な書き方が名作と言われたゆえんなのか、と分かってきた。
途中でローズマリーが快復したりするのが上手いんだよ。手綱を自由自在に操ってる。読み出した時はそれはすごく眠かったのに眠気が冷めていった。まさに徹夜本。


日常的な自分の身近に潜んでいそうな恐怖をここまで上手く書けることに感心した。ガイなんて最後までとても好青年っぽい。途中であれ? と思うけど、その思わせ方がそれは上手い。基本的にはモダンホラー系は私の好みではないのに読ませられました。名作です。それに高橋泰邦さんの訳が上手かった!