皇帝のかぎ煙草入れ(ディクスン・カー)
- 作者: ディクスン・カー,井上一夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1981
- メディア: 文庫
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しかしトリックと犯人が分かる場面では、推理小説として大いに面目躍如。心理トリックも凄いけれど、二人の登場人物がそれぞれ違う目的で事件に関わっているので、一人の犯人によって行われたと思われた犯罪の別の面が、謎解き時に鮮やかに浮かび上がってくる、その仕掛けに感心しました。ミステリの教本だなあ。江戸川乱歩が絶賛したのも分かります。
ところでネッドのような人が女性にとって危険というキンロス博士の意見には同感です。あの手の男はやばい・・。
最後のシーンは微笑ましくていいな。直接書いていないところが余韻を作っています。
人間の心理の書き方が今読んでも優れているので、全く古さを感じさせないのが凄い。カーとは相性がいいのかも。