時限絶命マンション(矢野龍王)

時限絶命マンション

時限絶命マンション

生き残りゲームという設定とは裏腹に、文章がのんびりしていて育ちが良さそうなところが、むしろ「デス・ゲーム」ものとしては、足を引っ張っているなあと感じました。文章だけみると読みやすいし好きなタイプなのだけどね。
話の内容もどこかのんびりしていて、思い切りの良さに欠けます。作者はもっと違うジャンルを書いた方が良いのでは。たとえば西澤保彦さんの初期路線か、家族ものなどの感動路線が良さそう。


「人形たらい回しゲーム」として見ると、主人公達チームは色々な危機に見舞われ、細かい山場がいくつもあり、構成は上手いです。オチは予想出来たとしても、最後まで読みたくなってしまう。
このように全体的に決して下手なわけではないのに、読んでいて物足りなく感じるのは、「勢い」と、「過剰な何か」が足りないせいかもしれません。きちんと纏まりすぎていることが、「デス・ゲーム」という主題につり合っていないのです。
以下は本を読みながら書いたリアルタイムの感想です。ネタバレあり。

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龍王。何かすごい名前、と事前情報無く本書を買ってきました。
今は首輪を発見した所まで読んだ。
「猪口才」唐変木等の言葉を使う主人公は本当に高校生なのか謎はつきません。
どうやらデス・ゲーム系の作品らしく、悪くいえば品が無い設定なのに、文体は妙に読みやすくてのんびり。

とか思っている間に、ゲームが始まったらしいよ。
一人練習で殺されてしまった……。

1 プロローグで200億を探していた一味がいた
2 主人公はお金に困っていた
3 賞金は一千万円。

――この事から推測出来るのは、一味の金はマンションのどこかに埋めてある。主人公組が勝ち残り、主人公は一千万を手に入れて大学に行けるようになる。かなり適当だけど、こんな感じかな。


二人目が亡くなってしまった。あわわわ、お兄さん恐すぎです。何か関係しているのかな? でも歳が合わない。
プロローグのテロ一味の年齢に当てはまるのは、奥山コーポレーションと、夫婦と外国人一家くらいか。

”おやつの時間”って。育ちが良さそうな文章だなぁ。もっと違うジャンルを書いた方が良いのでは。

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今は雨宮さんが死んでしまった所。
結局、200億一味の目的は、殺し合いを起こして、マンションを幽霊マンションにして、200億を掘り起こそうという事なのだろうか? 馬ー鹿ーなー。そんな事件があったら、マニアのツアー場所になってしまうのでは。
模型が動かされていたのは、マンションの下見? だとして、タオルが無くなったのは、何のためだろうか。
しかし役に立たない主人公ですな・・。あ、立ってるか。

さて、と。
生き残りサバイバル系の話では、すでに死んでしまった人が黒幕というのは良くある話で。
でも、みんな死んでいく様子がはっきりと見えてるんだよね。あ、雨宮だけ死体の描写が無いね。 悲鳴だけだった。もしかして、雨宮が黒幕?
もう一つ、味方(というか参加者)の中に「協力者」がいるのも、お約束中のお約束です。「協力者」が兄貴だったら凄いな。


P186まで読んだ。
プレイヤーの数が多いうちは、強い者同士は最初は結託するのがよくある作戦ですが、本書では誰も協定を組んでいない。そういう作戦は私は好きじゃないので、無い方がいいんだけど。


ただいま、P189です。「そうか、それはなによりだ」って、怪しすぎるよ、あにきー。
怪しんで下さいという、引っかけなのかな。
たまたま兄貴がやって来た時にゲームが始まったのも、タイミング良すぎな気も。それにしては、真剣に参加しているけど。
主人公のやっている事(子供を助けようとしたり)は、全くもって論理的じゃないね。子供を本気で助けたいなら、周り全てを敵に回さないと意味ないのにねえ。まあ、そういう問題では無いのだろうけど。


あ、兄貴が死んでしまった……。疑って悪かった。格好いい最期であった。
それはそうと、村野がニセ管理人という話が。村野は怪しかったけど死体! があったじゃないか。なになに、きちんと生死を確認してなかったのか。描写を見落としたらしい。ぐう。


話も終盤になってくると、さすがに恐い。 サバイバル。

そしてゲームが終わった。なんかいかにも怪しい警察だなと思ってたら、え?
マンションがにせもの???? ポカーン。
な、成程。確かに伏線はあった。しかし移動させる事になんの意味が。
あ……生きてるよ……。
マスコミも一味って、やりすぎだろ、おい。
なんだこれは……。
え、あ……。
お、終わってしまった。(了)だってさ。


――――。
――なんなんだこの最後は……。
もう駄目だ。しばらく立ち直れない。
小説読むのやめようかな……。


■読後の感想
主人公が生き残る「出来レース」をこんなに金かけて開催しても、「ゲーム」として満足出来るのだろうか。犯人一味は攻略本が無いとゲームをしないタイプなのか。参加者は「さくら」以外は弱者が多いし、ゲームとしてはバランスが悪いのでは。
――いや、もうそういう所に突っ込んでも意味は無いのだろう。
主人公が兄貴に怒られるのは確定だね、うん。
なんで、ミステリとして読んでしまったんだろう、自分。
疲れた……orz