冷蔵庫より愛をこめて

冷蔵庫より愛をこめて (講談社文庫 あ 4-1)

冷蔵庫より愛をこめて (講談社文庫 あ 4-1)

トリッキーな短編から、奇妙な味まで色々な話が詰まってます。阿刀田さんが書く話はいつでも一定レベルを確保しているので安心して読める。
ただ一つ、出てくる男の人の言動が、いつも同じパターンなのが気にかかるんですよね。特に女性関係での行動が。浮気するのは構わないのです。私が好きなサンダースの主人公なんか、目移りしっぱなしだ。だけど阿刀田さん(に限らずよくあることなんだけど)の主人公は、浮気すると、よく"男というものは"というフレーズを使うのが気にいらない。

"妻に不満があったわけではないけれど、男にはだれしも多かれ少なかれそんな体験があるものだ。"

――この文章を読んだ時、ムカッとして、そういうのは男の性質ではなくて、単に自分が遊びたいだけだろっ、 とつっこみをいれてしまった。火遊びするならするで、堂々と自分の責任においてして欲しいものです。最初は気にならなかったけど、何冊も読むうちに目についてきた……。
って、話がズレてしまった。そういう所を抜かせば、読みやすくて上手い小説を書く人だと思ってます。どの短編も先が全く読めない所や、アイディアが一風変わっている所がいいね。
阿刀田さんの著作の中でも、面白い作品が多く収録されている作品集です。