ノヴァ(サミュエル・R・ディレイニー)

ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)

ノヴァ (ハヤカワ文庫SF)

読み終わりました。眩暈がするこの感じ、この種の格好良さはSFの専売特許かも。というかディレイニーだからか。色とメロディーの欠片が何度も形を変えてキラキラ浮遊している中を、一緒に浮遊出来るのは素晴らしいです。
終わり方も良いし。面白かった…。
なんとなく「復讐の女神」を思い出した。あ、あれはゼラズニィか。
さて、ディレイニーといえば、多重構造、シンボリズム、メタファー、で溢れている事でお慣染みだけど、私は軟派な小説読みなので、表層的に読んでただただ楽しんでしまった。しかしそれでいいかな〜と。過剰なものは好きだけど、ディレイニーの作品の場合過剰なのは何かを覆う為な気がするので、むしろ騙されてシンボリズムを読み解いたりしないぞというか。
伊藤さん力作の解説は興味深く読ませて頂きました。これは相当の労作です。

聖杯伝説と最後のページに作者自ら書いてますが、私は世界最古の叙事詩ギルガメッシュ」から始まる、"双子伝説"の流れも本書に感じました。
さてと、ノヴァを読んだらやはり次は、ノヴァと同じく多重構造やシンボリズムだらけの殊能将之著「美濃牛」でも読もうかな。