白い兎が逃げる

白い兎が逃げる (カッパ・ノベルス)

白い兎が逃げる (カッパ・ノベルス)

ノン・シリーズだと思って買ったので、火村が出て来た時は驚きました。いい雰囲気の表紙です。
・「地下室の処刑」
再読。最初に読んだ時は、「あ、これがシャングリラ十字軍か」と、感概深かった。名前だけは他の話で見ていたので。
本書に使われるWhyダニットは、とても好きですねえ。そういう手があったのかと感心しました。今までに見た事が無い動機です。
話の持っていき方も上手いなあと。緊迫感があるし伏線もごく自然に挿入されている。
演技だと分かっていたからこそ手が震えたと説明する所はロジカルで良かった。
毒物を「天使」と符丁で呼ぶ事は、本当にありそうです。その「天使」という単語をラストの演出に効果的に使用している。こういう風に作中に出てくる単語を上手くストーリーに溶け合わせる手法は、有栖川さんの十八番だね。手慣れたものというか危なげなく組み立ててます。