海馬―脳は疲れない(池谷裕二, 糸井重里)

海馬 脳は疲れない (新潮文庫)

海馬 脳は疲れない (新潮文庫)

脳は刺激によって活生化され、経験メモリーによる組み合わせは「ベき乗」によって爆発的に増えていくので、頑固に一つの事に捉われないで、より多くの経験や情報を仕入れ、その「組み合わせパターン」から独自のものを創造しよう。
――という本です。(他にも色々ありますが)

結構面白く読めたけれども、池谷さんや糸井さんのように創造的な環境にいて、ある程度人と変わっている所が許容される(むしろ美点になる)職場にいる人でないとすぐ実行するのは難しいだろうなあと思った。まずは状況を変えないと。やりすぎが脳を作ると言われても、やりすぎて他の事をおろそかには普通の職業(環境)の人は、なかなか出来ないし。
なのでこういう本は出来るなら、まだ将来が定まっていない小中高校生が読むとより良いのでは。
経験メモリを上手く使う能力は、歳を取ってからの方が上手くなるという部分は、勇気付けられます。とりあえず何か始める事をなるべく億劫がらないでいたいと思った。

参考になったのは、
海馬は生存に必要と思われる情報は覚えやすい


さて私としては脳に関しての情報と同時に、この二人の「対談スタイル」に興味が湧きました。

例えば池谷さんは、糸井さんが少し間違ったり見当外れの事を言っても、決して否定しないのですね。「でも」という逆説の否定さえ全くと言っていい程使っていません。
糸井さんの言葉から、新たな考えや情報を導き出して言葉を返しています。
そういうのって、素晴らしいなあと感心しました。私の知人にそういう人がいるけど、やっぱり人に好かれているし、私も尊敬します。私が無知や知ったかぶって出した変な提案を却下するにしても、「こうしたらいいかもしれませんね」という新しいアイディア、考えを一言必ず添えます。
そのような姿勢は発展的なので、是非真似して身につけたい所です。こういう人はきっと失敗しても、そこから何か新しいアイディアや方法を拾い出そうとするのだろうなあと思う。

また、糸井さんのチャンクダウン能力と、物事の本質を掴む早さにも感心しました。
「ほぼ日刊イトイ新聞――海馬」で一部が読めます。