黒い仏

黒い仏 (講談社ノベルス)

黒い仏 (講談社ノベルス)


とりあえず、どうしようもなくロマンチストなのはお前だ石動ーっ! 突っ込みたい。
小説内の現実はさらにロマンチックだったと言えなくもないか(ふう)
読むのは4回目くらいかな。
最初に読んだ時は、クトルゥーについて良く知らなかったので、まさにポカーンでした。
もっとも今でも、だからなんじゃい、という気持ちだけど。まだまだクトルゥーへの理解が足りないのだろうか。


今回は、文体について考えながら読んだ。
何故この本を最初に読んだ時、ラストのオチに拒否反応がでたのか。
それは"本格ミステリの文体でSFのラストになっているから"ではないかな。
人は文体でジャンルを無意識のうちに判断する事が多い。映画の出だしで、どんなジャンルか判断するように。
文体と、小説の内容(ジャンル)のギャップを上手く使えば、新鮮に感じられて注目を集めたりもするけど、たいていは文体とジャンル(内容)は合っている方が読みやすい。


で、殊能さんの文章は、非常に地に足がついた、端正な本格ミステリ型文体な印象があります。話の進め方も論理的だ。
最後に論理的な結末がくるに違いないと、そう無意識に予想する文体。
なので、黒い仏のようなラストでは、おいてきぼり感を感じるのではと。
「美濃牛」もちょっとはその傾向があるかも。殊能さんの文体は、スマートな都会派なので「ハサミ男」系の話にぴったりだ。


地に足のついた文体はそのままで、中身だけ現実から浮遊させた、という点が座りの悪い感じを受けるのだろうなと。
小説として、その仕掛けが上手く機能してれば面白いのだけど、どうなのかな、意見は分かれるだろうなあ。
どうせならラストだけ、文体も変えてしまえば良かったのに。それも変か。
本書が出た頃は、文体と内容にギャップがある小説はまだ少なかったけど、最近ではだいぶ多くなってきたなあと感じます。


話は変わって、殊能さんのHPで、Black Buddha Original Soundtrack

黒い仏
Black Buddha Original Soundtrack
1 Intro〜天台宗日課
2 Blue Moon Mel Torme
3 A Song for You Leon Russell
4 All Day and All of the Night The Kinks
5 Quiet Night Antonio Carlos Jobim
6 いざゆけ若鷹軍団 ホーク・ウィングズ
7 Bodhisattva Steely Dan
8 Shambala Beastie Boys
9 Ours Lena Horne
10 Slava from Glagolitc Mass Leos Janacek
11 Mood Indigo Nat King Cole
12 Johnny B. Goode Judas Priest
13 excerpt from Le Grand Macabre Gyorgi Ligeti
14 Bodhisattva Vow Beastie Boys
15 Outro〜天台宗日課
16 Don't Fear the Reaper Blue Oyster Cult *
http://www001.upp.so-net.ne.jp/mercysnow/Books/Black_Buddha/index.html

うーん、この中で知ってるのは、Mel TormeSteely Dan、Antonio Carlos Jobim、 Beastie BoysNat King ColeJudas Priest くらいです。歌手は知っていても、曲は知らない(というか思い出せない)のが多い。


そうそう「はさみ男」で、XTCの「SCISSORS MAN」がでてくるけど、あれを読んでXTCを買いに行きました(笑) 私以外にもそういう事した人いるよね?
そうしたら、殊能さんの作風によく合ってるなって感じで、そのまま好きになりました。
ちょっと癖がある曲調なので、視聴をおすすめします。