共感する女脳、システム化する男脳(サイモン・バロン=コーエン, 三宅真砂子)

共感する女脳、システム化する男脳

共感する女脳、システム化する男脳

こういう脳の性差の本はあまり好きではなかったけど、題名がよく思う事だったので、買ってしまった。
この本は、男だから男脳と決めつけているのではなく、そういう傾向が高いだけで、皆がそうなわけではないし、どっちが優れているわけではない、という注意を繰り返し書いているのが好ましい。まあ、当然といえばそうなんだけどね。


私が興味を持っていたのは、「システム化」とは、具体的にどういう事を指すのか、また何が目的なのか、という事でした。この本ではちゃんと結論が出ていたので良かった。
では軽くまとめ。


■システム化とは
システム化とは、システムを理解したり構築しようとする衝動である。
システムとは、インプット――アウトプットという関係で表せる規則に従うものすべてを指す。


システム化を行うには、まず対象となるシステムのさまざまな要素を分析し、次にその要素を規則的(システマチック)に変化させるとどのような結果を生じるか詳しく観察する。
その内に、そのシステムではどのような規則に従って、インプット――アウトプットが行われているかがわかってくる。
その為、細部への注意力が必要となってくる。


■システム化によって得られるもの
システム化によって得られる最大の利益は外界をコントロールする力を得ること。

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■分類
コレクションやデータを集め、分類するのはほとんが男性である。このように分類したり、組織化する事に興味を持つのも、システム化能力に関係がある。
分類はインプットに作用し、そこからアウトプットを予測として導く。分類を細かく区分すればするほど、そのシステムは正確な予測が可能になる。

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■右脳
男性のシステム化能力は右脳に偏っている比率が高い。空間把握能力はシステム化能力と関連が深いが、これも右脳に偏っている。
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システム化は、外界をコントロールする力を得ること……とは、至言ですね。
プログラム言語を覚えれば、プログラムが作れるようになる。風車の仕組みが分かれば、風車を作れる。組織の仕組みが分かれば、その実体を把握出来る。


また、システム化能力が右脳の比率が高いというのは、意外でした。でもよく考えてみると、確かにそのような傾向がある気がする。絵を描くのが上手い人は、対象の特徴を掴むのが早い。これもシステム把握能力の一つだ。


ようはシステム化というのは「道具」の一つなのだろうと思った。外に出ていくには、道具が必要不可決であり、道具はそのまま本人の力を増幅させる。そうでなくとも、「世界を把握」するための装置となるという事なのでしょう。