新刊めったくたガイド大全 北上次郎

北上さんとは、実はあまり本の趣味が合わなかったりする。私は元々ハードボイルドが特に好きな訳ではないので。でもこの人の書評は好きですねえ。人柄や文体が好きだし、何よりも本を語る時の目線が好きなのかもしれない。
ああ本当に小説が好きなのだなあというのが伝わってきます。


この本によると、仲間内の本は褒めないそうです。そういう姿勢も好きですね。
読みすすめていくと、紹介されている本が面白そうで読んでみたくてうずうずします。そういう気持ちにさせてくれる書評(ガイド)は貴重。このガイド自体がまるで小説かのようです。
このめったくたガイドの書評を読んで、読んでみたいと思った小説は、


川上健一「宇宙のウィンブルドン」……なんでも、サーブだけは超人的にうまい無名の日本人青年が、ウィンブルドンに挑戦するという、ユーモア・テニス小説だそうです。


広山義慶の「女喰い」。
これは他の所で感想を読んだ事があって、その感想が妙に面白そうだったのでなんとなく気になっていたのでした。
こういうジャンルの本は基本的に全く読まないのだけど(そもそもどういうジャンルになるか分からないけど)、私は「すけこまし」なるタイプがわりと好きなので、読んでみたいですね〜。そういうタイプの本は主人公やストーリーにせこさがあると興が削れるので、そうじゃなかったらいいなと。

他に、

樋口有介「ぼくと、ぼくらの夏」。なんとなく私の好みじゃなさそうなのに、何故か一度読んでみたい。アンビバレンツな気持ち。もしかしたら面白いかも? どうだろう。


あとは、島田荘司さんの小説をリアルタイムで読んでいった書評、年ごとに変化していて面白かったです。
こういう風な書評を読むと、北村さんはハードボイルド読みとばかりはいえないんだよね。
岡嶋二人さんや倉知さんなどもよく評価しているし。