「怪談の心理学」中村希明

怪談の心理学―学校に生まれる怖い話 (講談社現代新書)

怪談の心理学―学校に生まれる怖い話 (講談社現代新書)

日本に古くから伝わる怪談を、心理学的・社会学的・科学的・脳内生理学的・に解き明かした本。
例えば第一章の「トイレの怪談は」デマゴギーの心理学を加しく説明しながら、どのようにしてうわさが伝わっていったか、その原因は何かを詳しく説明している。
第二章の「コックリさん」では、コックリさんは筋自動運動と集団催眠が原因で起こる現象とし、そのメカニズムを説明している。
ただ科学的に解き明かすだけではなく、それぞれの怪談の歴史やそもそもの成り立ち(ルーツ)、種類などものっているので、怪談についても詳しくなれる。怪談自体をきちんと調べている方なんだなあと。
ただただそういう怪談を「オカルト」として見ているのではなく、一つのジャンルとして敬意も払っている気がします。なかなかの名著だと思います。
以下気になった所の纏め。

・怪談のような気持のわるいデマゴーグが発生する原動力は集団の意識下にとぐろをまいている不安やルサンチマン。デマはその情動をくみあげ気ばらしをさせる作用をもっている。p12


・デマは伝達をくり返すのに従い、短くなり要約され平易になっていく傾向がある。
・あいまいな情報には人は意味をつけたがる。一度確固たる意味(説明のしやすい形)がつくと、細部は変わっても形はそのまま伝達される。