ミリアム(トルーマン・カポーティ)

題名にひかれて買って、何の気なしに読み始めたら最初の短編「ミリアム」でびっくり、これは凄い作品じゃないか。慌てて解説を読むと、どうやら代表作でもあるらしい。有名な作家だったんだね。(「ティファニーで朝食を」の原作者らしい)


本当にひしひしと怖かったし、改めて"孤独"について考えた。孤独を書いた小説なんて、うなるほどあるけど、ここまで、ああ孤独は怖い……と思わせてくれた作品はなかなか無かったよ。
何故だろうと考えてみたら、これほど怖い作品なのに薄く甘さが潜んでいる。この甘味のせいで、「孤独」の冷たさが、よりいっそう凍りつくようだった。
不条理感、得体のしれない恐怖と美しさが交錯していて、完成度も抜群に高い。もっと読んでみたい。

夜の樹 (新潮文庫)」に収録されています。