ストレンジャーズ 下
- 作者: ディーン R.クーンツ,Dean R Koontz,宮脇孝雄
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1991/08
- メディア: 文庫
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父親はよくいっていたのだ、闇の訪れる前が一番明るい、と。 ――「ストレンジャーズ 上」P252
追いつめられた登場人物達が、それでも人間としての尊厳を失わず果敢に立ち向かう場面に心を打たれました。上巻では互いの存在も知らなかったそれぞれの物語の主人公達が、ついに互いの存在を知り、色々ありながらも協力したりする構成が盛り上がります。
主人公の作家視点では、頼りになるチャーミングな変人のパーカーが、視点人物が変わった途端、実は大物だったことが判明した。なんとアメリカ画壇の重鎮で、合衆国大統領をはじめとする著名人から絵の制作を依頼されることも多いそうな。
――そ、そうだったのかー。大統領って……めちゃくちゃ大物じゃないか。こういう風に視点が変わる事によって、人物の別の面が見えてくる書き方は好きです。
そしてジャックが改心する場面も感動。 改心した元悪党は味方になると強いね。P183、187で、みんなの前に姿を現すジャックのシーンが文句なく格好良い。
ラストは……。このラストは、あまりにも能天気に性善説で、ちょっと待ってくれ!と言いたくなった。地球の未来を簡単に決めないでくれ……私は嫌だ……そんな一致団結した未来なんて、ありえない。恐すぎる。このラストは私は駄目でした。変に暗いよりはいいかもしれないけど、それでもね……。
ま、そこにいくまでは息もつかせぬプロットに、人間ドラマがしっかりと書かれていて、「これぞ、エンタメ小説のお手本! 」と言う小説です。読んでいると小説の世界にすっぽり入ってしまい、すっかり日常を忘れて楽しめました。面白かったです。