クリティカルシンキング (入門篇)

クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則

クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則

再読。
まず表紙がすっきりしていて、いかにも論理的で気に入ってしまいました。
装丁の人が訳もやってるみたいで、リキ入ってますね。
訳の人達も入れ込んで訳していってるのだろうなあと伝わってきました。
その変わりに原文を変えすぎてなかったら良いのだけど。でも熱意が伝わってきて良かったです。
作者はE.B.ゼックミスタ, J.E.ジョンソン、訳者は 宮元博章, 道田泰司, 谷口高士, 菊池聡
です。

一番影響を受けたのは、原因帰属のところかな。
では軽く本の内容をまとめてみます。


結果を推定する際の落とし穴
・時間順列の逆。期待や新年による迷信。
・同時発生の原因――他の理由があるのではないか。
・自然原因。――落ちた野鳥が飛んだのは誰かのおかげか。
・平均化への傾向――極端に良い、悪い、成績の次は平均へと戻る


□原因を決める際の落とし穴
基本的帰属錯誤――相手の性格や能力(内的帰属)に影響をうけ、環境や状況(外的帰属)を過小評価する。これって赤信号モデルの事を連想しました。
自分に好ましいことは内的に帰属し、好ましくない原因は外的に帰属する。

スキーマ――一般的な概念についての知識構造。パターンみたいなものか。

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原因帰属 
・内的ー外的 ……自分自身か自分以外か。努力のせいか問題が簡単だからか。
・安定ー不安定。 ……自分が頭脳明晰だからと考えるなら安定。たまたま問題がやさしかったからか。
・全体的ー状況特殊的 ……特定の状況かどうか。才能があるから(全体的)か、歴史が好きだから(特殊的)か。
・コントロール可能ーコントロール不能 ……努力のせいならば可能。素質がないと考えるなら不能

抑うつ的な帰属スタイル ――ネガティブな事に出会うと、内的(自分のせい)で安定(いつもそう)し全体的(なんでもそう)な原因に帰属する。

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◎自分にはポジティブなことがおこるのが当たり前。
認知的不協和――一人の人が同時に二つの心理的に相容れない認知(考え、態度、信念、意見)を抱いた時に起こる緊張状態。
――解消しようと自己正当化がおこる。
または「公平世界仮説」を取る。被害を受けた人は、それを受けるに値する罪があったからと考え、自分の負担を軽くする。(いじめなど)
☆ただの傍観者でも被害者側の落ち度や責任を過大に見積もりがちになるになるので注意。


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■自己ハンディキャップ

印象管理法の一つ。
自己ハンディキャップ行動――実際に自分が不利になる行動をとる。アルコール依存症など。
 #自分は潜在能力があるのに、アルコールのために発揮できないだけと自尊心を守っている。
ハンディキャップの自己報告――単に失敗した時の言い訳を前もって語っておく。


◇失敗◇自分の責任を偏らずに理解しようとするのがよい。それには性格論的自己非難よりも行動的自己非難を。
個人的にはこれに外的原因も考慮に入れるとより良いと思われる。

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確立判断をくだす、代表的なヒューリスティクス(簡便法)
「利用可能性」と「代表制」。
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――「人はなぜお金で失敗するのか」という本が、この本とよく似た内容なので、この本を気に入った人は見てみても良いのでは、と思います。


Amazonの書評を見たのだけど、投票の仕方、票の入り方が、他の書評とパターンが一緒。きれいに褒めてあるのには投票が多く、一行、二行で、日本語で読んだらなんじゃこりゃー、みたいな書き方しか書いてないのは票が低い。
おいおいそれって結局、自分の価値観(この本は素晴らしい)に沿っている意見を、過大評価してしまってるだけではないのだろうか


そういう傾向があるというのを、クリアに説いてるのがこの本なのに……。
素晴らしいベストセラーを読んでも、何故なかなか世の中が良くならないのかの一端が分かった出来事でした。。
自戒のきっかけにもなりました。


余談だけど、この本の題名を見た時に、
”残るHPは5。MPは0。ああ、もう倒せっこない、ここで終わりだ……あああああっ! で、でたー、クリティカル攻撃! 閃光。爆発、旋風”


――といったイメージが、脳裏をよぎったのは疑う余地もない(笑)
すっげー、クリティカルだよ。もう最強ね。こんな題名をつけた本っていったいどんなのかしらん、と思ってみたら、全然違ったけど面白かったという。

なかなかエキサイティングな本でした。