戦闘糧食の三ツ星をさがせ!―ミリタリー・グルメ(大久保義信)

戦闘糧食の三ツ星をさがせ!―ミリタリー・グルメ

戦闘糧食の三ツ星をさがせ!―ミリタリー・グルメ


実際に食べた事はないのに宇宙食のようなものが好きです。そこまでいかなくても、携帯食みたいなやつ。なにか魅かれるものがある。SF……特に昔のSFを読んでいると、よく「レーション・バー」が出てくるが、あの響きにもひかれる。

さてこの本は各国の携帯食を写真入りで詳しく紹介しています。筆者が実際に原地の基地に出向き、自ら「ドイツ軍の糧食をひとついただきたいのですが」などと交渉して、分けてもらって写真をとりつつ食べている。
評価項目は「量」「味」「調理性」「携帯性」の部門があり、三つ星が最高点。

やはりフランスは美味しそうだ。特にシチューの缶詰めがおいしそう。ココアやチーズ、クラッカー、バナナ・バー。キャラメルやキャンディもある。
日本の自衛隊はというとしっかりご飯の缶詰である。さばとか、赤飯とか、たくわんとか、うーん、日本っぽい。ちゃんと洋風のメニューもあります。
スウェーデンのも良い。ビスケッ10枚と粉末レモネード、レバーパテにココア。ソーセージと豆のトマトソース煮。これが朝食です。
間食は、チョコレートとフルーツ・ドリンクにキャンディ。


アメリはさすがにレベルが高い! まずは種類が豊富。ちゃんとベジタリアン用も用意してあります。
通常の部隊配食には、Aレーション……生鮮を中心にしたもの。
Bレーション……缶詰めや乾燥食
Tレーション……保温ホルダー内にバックした温食。と分かれている。
そして、作戦時の糧食には、「MRE」という個人糧食が出る。このMREだけで24種類(98年現在)もあるというので驚いた。


この筆者は、何もミリタリー・グルメのために粉争地に行っているわけではなく、本来は別取材のためのようである。携帯食を紹介しながらも、合間合間にその軍の事情が伝わるような写真や文章も狭まれていて、各国の軍の事情も伝わってきます。
実際には、この食品の数があるその分だけ戦争が起こっているという事であり、そういう痛みのようなものがユニークなこの企画の中からきちんと伝わるように書かれてある。
そういう筆者の姿勢が、ただの面白グルメ本とは一線を画している要因なのだろうと好ましかった。